GREENER CLEAN PROJECTのテーマは
「キッチンから考える環境対策」。
イタリアから始まった「スローフード運動」を
早くから実践しているイタリア料理店に、
プロジェクトにご参加いただいています。
飲食店としての環境問題に対する想いや
実際にどのように
SDGsに取り組んでいるのかお話を伺いました。
- 「もったいない」は、現代のSDGs
- お客様が残されない量感をこだわって考えたり、ホールと密に連携を取ったり、端材で出汁を取ったりして無駄を出さない工夫はイタリアでは普通のこと。「もったいない」は、今で言うSDGsですよね。食材がもったいない、光熱費がもったいない。それって子供の頃に教わることで、これを皆で当たり前にやっていけば、いい循環が生まれてくるのではないかと思います。
- 過剰包装を減らすために
- 他には過剰包装が気になっていて、業者さんになるべくシンプルな包装でお願いしたり、缶でなくパウチのパッケージの商品を選んだり。お客様が目にするもの以外は、できるだけ簡素な包装で良いんです。飲食は梱包材のごみが多いので、皆が意識していくのも飲食業界のあり方かと考えています。
「本郷弓町のクス」と呼ばれる、推定樹齢700年の巨大な楠木の傍に構えている当店。僕が愛するトスカーナの魅力を多くの人に伝えたくてオープンしました。
イタリアは「カンパネラ=教会の鐘」が聞こえるところまでが地元で、そこで採れるものを作って食べて、という文化のため無駄が少ないんです。トスカーナは、特にその意識が強い気がします。当店はそのトスカーナの料理とワインのアビナメント(=マリアージュ)、交わりがとても楽しいレストラン。ワインは料理がないと楽しめないし、料理も相方のワインがないと物足りないですからね。
- イタリアでは「捨てない」ことが当たり前
- イタリアの食文化として、ずっと捨てないということを大前提にしています。知識がない若い頃、出汁をとった鶏肉を捨てたらシェフから「これで一皿料理を作れるくらいになれ」と怒られたのを思い出しますね。野菜の皮や肉、魚の骨も出汁にしたり、日持ちさせるために塩やハーブ、オイルでマリネしたり。果物や野菜はジャムや瓶詰めにしています。
- お客様との会話からも無駄をなくす工夫
- コースの種類を絞り、食材全てを生かし切るメニューを厳選しています。また、予約人数から適正な注文量を割り出し、無駄のないように食材を準備しています。予約の際にはアレルギーや苦手な食材を確認しています。コースの途中で満腹そうなお客様には、量の調整をご提案することも。戻ってくる時にはお皿の上に何もないことを、常に目指していますね。
シェフ:料理は、伝統的なイタリア料理に現代的なアプローチを加えています。季節の素材を活かした料理とワインのペアリングにとてもこだわっているので、ワインとの出会いと共に楽しんでいただけると嬉しいですね。
オーナー:店名の由来は、イタリア語で香りです。私はソムリエですから、料理だけでなくワインも表現しつつ、上品な店名をと考えました。香りが分からないと美味しさは伝わらないので、そこにフォーカスしていきたいと思っています。厳選したイタリアワインは、500種類ほどをご用意。オールドヴィンテージも取り揃えています。
- 愛情込めて作られる食材に感謝
- 今問題になっているフードロスは、この業界の人は皆いちばん気をつけていることだと思います。私の実家が農家なこともあり、生産者さんが愛情込めて作られる食材1つ1つに感謝し、食材ロスを極限まで減らし、私たちのフィルターを通して一番美味しい調理法でお客様に喜んでもらうことを大切にしています。また、東京を産地化させてのフードマイレージの解消も目指しています。
- 北イタリアの食文化、マンマの味が原点
- 食材に対するこの考え方は、私が住んでいた北イタリアの影響も大きく、地元の食材を余す事なく活かし、栄養価の高い美味しい一皿に仕上げるクチーナ・ポーヴェラ(直訳で庶民料理)が原点となっています。要はマンマの味、郷土料理ですね。
当店のオーナーの出身地、北海道の美味しい食材を使い、私が北イタリアで学んだ料理法や考え方を融合させ、現在のお店が誕生致しました。誰もやっていないことをやってみたい!これからもその挑戦は変わりません。
お仕事仲間、ご友人、ママ友、女子会やご家族はもちろん、オープンキッチンのカウンター席もありますので、おひとり様も歓迎。何度も通いたくなるような、皆様の日常と共にあって北イタリア郷土料理を楽しめるトラットリアを目指しています。
- 進む環境破壊を少しでも遅らせたい
- 昨今、オリーブオイルやトマト等が値上げされているのは円安等の影響もありますが、干ばつ等の環境破壊が原因でもあるんですよね。文明が進化していくほど、環境は壊れて行く。止めることは難しくても、少しでも遅くするためには何ができるのか。今回のお話は、そういったことに改めて気づくきっかけになりました。
- 無駄を出さないよう、
できることを常に考える - 店では余すことなく食材を使い切ることを心がけています。野菜の皮やヘタはスープの出汁にしたり、出汁の取れないものはハーブ類を育てているプランターの土に混ぜたり。出汁がたまってしまう時もありますが・・・、スタッフ用に出汁だけのパスタや、カレーにしてまかないにしています。また、ランチでパンがつくのですが、いつもパンを召し上がらない常連様には一声かけて出さないようにしたり、なるべく無駄が出ない工夫をしています。
店名の「タルトゥーカ」は、中世のイタリア語で「亀」という意味。トスカーナのシエナという地区は動物名で呼ばれており、恩師が亀チームだったんです。のんびり一歩一歩しっかりと、長く続けたいという想いも込めました。開店した24年前は飲食業が開店しては消えて行く、消耗品みたいなところがあったんですが、そうはなりたくなくて。正直、ここまで長く続くとは思っていませんでしたが、本当にお客様のおかげです。美味しい料理を出すのはもちろんですが、僕たちは一歩引いて、食事という時間を楽しんで、くつろいでもらいたいですね。
〒153-0043 東京都目黒区東山1-11-15 ARK2 ANNEX1F
TEL/03-3792-8977