日頃から環境対策を心がけている
Clima di Toscana 佐藤真一オーナーシェフと、
東京港醸造の寺澤善実杜氏に
このPROJECTにご参加いただいた意図を伺いました。
左から
- プロジェクトパートナー
- 東京港醸造
杜氏 寺澤 善実
- スペシャルパートナー
- Clima di Toscana
オーナーシェフ 佐藤 真一
- <聞き手>
- スリーエム ジャパン株式会社
仲井 智亮
(敬称略)
仲井:お二人は「発酵・美酒」がテーマのイベントでご縁があり、今回Clima di Toscanaで提供いただいたメニューに、東京港醸造の酒粕を使用されているのですよね。
佐藤:酒粕や麹は、もともと料理に使用していました。アミノ酸、つまり旨味の塊で、爽やかな香りも魅力です。お肉を柔らかくする効果もありますしね。この日本の素晴らしい素材を調味料として使うことで、こういう使い方もあることが伝わればいいなと。それを今回ご縁のあった、東京23区で唯一の酒蔵、東京港醸造さんのものを使用させてもらえれば、テーマにもぴったりだと思いました。
仲井:発酵は、食材を長持ちさせて無駄にしないという目的もありSDGsな食材ですよね。寺澤さん、日本酒と発酵の関係についてお話しいただけますか?
寺澤:日本の酒造りは「醸造」で、黄麹菌という菌を使って米の液化と糖化を行い酵母によりアルコール発酵をさせます。黄麹菌は縄文時代に稲作と共に中国から伝わりました。平安時代には150くらいの酒蔵があったといわれています。その後広がっていき、江戸時代には、武士が移動する参勤交代の時に豊作などで余った年貢米を利用する動きが始まり、宿場町や城下町の名主の周りに酒蔵が増えていきました。明治には、東京23区に当蔵を含め64社ほど酒蔵があったそうです。
仲井:東京にそんなにたくさん酒蔵があったとは驚きです。 ところで、お二人はなぜこのプロジェクトに関心を持っていただけたのでしょうか。
佐藤:環境問題やSDGsについて、僕にとっては日頃から普通に意識していることですが、そういった環境にいない人や未来のためにも、皆が意識して当たり前に行動するという環境を作ることが大事なのかなと。それで、この燃やしても害が少ない自然由来の素材で作られているグリーナークリーンシリーズは、そのきっかけになると思いました。こういったことを伝えていくのも飲食業の務めだと感じています。
寺澤:私は今、SDGsの取り組みとして「サステナブル酒」というお酒を作っています。酒造りは大量の水を使用し、1kgのお米を洗うのに約14ℓの水が必要です。水が豊富な日本だからできることですよね。米の研ぎ汁は栄養価が高すぎて、腐ってしまうとメタンガスなどのガスが発生してしまいます。生物が住めるような水にするには、10,000倍くらいに薄めないといけないと言われています。そこで、未来のためにも節水する方法を考え、無洗米を使用できないかと思いつき、チャレンジを始めました。初めはかなりクセが出てしまったのですが、試行錯誤の末、今では普通の米とほとんど変わらないレベルにまでなりました。無洗米でお酒が作れれば、水が少ないところや、船の中などでも作れますよね。環境を汚さないでお酒を作ることができます。
グリーナークリーンシリーズは、タンク等の機材を洗う時にキズがつきにくいのもいいですね。キズついた場所は汚れの宝庫なので、本当に助かっています。しかも使用することが世の中のためになる。そこが私の取り組みと共通すると思いました。適当なもので済ませるのでなく意味のあるものを使い、その重要性を若い世代にも伝えていくことが大切だと感じています。
仲井:ありがとうございます。あまたのキッチンスポンジがあって違いが伝わりづらい中で、このスポンジのメリットを伝えていくのも我々の責任だと感じています。
寺澤:無駄なく簡単に水の出し入れができる、オリジナルの「フットスイッチ」という設備も開発しました。足で踏むことで水が出て、離したら止まる、シンプルな仕組みです。手で蛇口やレバーを操作するとどうしても無駄な水が出てしまうので、足を使うこの装置は必要な分だけ簡単に水が出せて節水につながります。他にも蒸し米を無駄にしない装置を作るなど、常に効率よく無駄をなくすことを考えています。また、100年前に東京で分離された日本最古の酵母yedoを使用したAll Edo、専門学校と産学連携で日比谷公園の蜂から採取したTokyo酵母を使用したAll Tokyoという、米も水も全て東京産の日本酒も作っています。さらに、今年新一万円札になる渋沢栄一氏を記念して、晩年を過ごした桜が有名な北区飛鳥山で採取した酵母と、生まれ故郷の深谷のお米を使用した「飛栄」という日本酒も北区観光協会プロデュースで作っています。
仲井:まさに地産地消ですね。佐藤さん、イタリアでも各土地のものを使って料理を作るので、地域によって全然違うメニューができるそうですね。
佐藤:そうですね。イタリアも日本と同じで北から南へ長い国なので、暑い寒い、海の近く、山の地域などで食文化は当然違います。同じ煮込み料理でも、南では白ワインや野菜の出汁で軽く煮込むことが多く、だんだん北の方へ行くと、暖炉があるのでゆっくり時間をかけて煮込んだり。また、その土地のワインに合う料理が充実していきますね。
仲井:そもそもお二人は、環境について意識し始めたのは何かきっかけがあったのでしょうか。
佐藤:二酸化炭素問題がニュースなどで耳に入るようになってから、脱炭素のためにできることを考え始めました。それからSDGsが出てきて、二酸化炭素の問題だけでなく色々な分野があることを知って勉強し、当時いた会社では統括する立場だったので他部署にも落とし込んでいったりしました。そこにいた時は最初、金ダワシを使用していたのですが、ちぎれてしまうこともあって料理に破片が入ると危ないんです。それで他に何かないかと探していたとき、3Mさんの商品を見つけて使い始めました。それも一つのきっかけですね。
仲井:ありがとうございます。弊社でもカーボンニュートラルに対する取り組みはしていて、石油が原料のバージンプラスチックの使用を減らすという目標を掲げています。
寺澤:世の中の情報を素直に見ていると、自分が何をするべきか自然に動けると思うんです。それで私も、環境をなるべく汚さず酒造りをする方法を考えるようになりました。
仲井:そうですね。そういったことを自然に考える方が一人でも増えていくことを願っています。
本日は本当にありがとうございました。
ものや食べ物を大事にしないといけない、
捨てるものはなるべく減らす、
といったことは多少なりとも
誰もが取り組んでいることと思います。
今回プロの方のお話を聞いて、
食材も捨てるところがないくらい料理に活用し、
水の使用も徹底的に少なくされるなど
レベルが違うことを痛感しました。
このプロジェクトを通して、
身近なところから
誰もが環境を意識した行動に移していけるよう、
これからも発信していきます。